今年のMVP
毎年年末に書いている『今年のMVP』ですが今年も書いてみたいと思います。
今年は9月末からかなりバタバタしていてほとんどテストにも行けなかったという珍しい年でしたが、春先から夏にかけては良いテストができた日が多かったように思います。
それと年始の宣言通り、他者が使用する前提を排除して自分用のものを作るというところも100%でないにせよ達成できていたと思います。
他者が使用する前提を排除する、というと不遜な響きがありますのでややこしいものを作ったのかと思われるかもしれませんが、結果的に誰もが使いやすい物になっているというかんじです。
今年のMVPは特にそういったモデルやカラーで構成されていますので、各クランクの特徴や使用方法なんかをご自分の釣りに置き換えて読んで頂けると良いのではないかと思います。
⦿第3位
◆FL62 (スカンクスプラッター) ・HP502MR (グリーンシャッド/チャート)
FL62
HP502MR
両者共、非常に使用時間が少ないのですが、それでも私が望んだ結果を出してくれたモデルでありカラーです。
FL62のスカンクスプラッターについては居るとわかっているピンスポットでの一発勝負や、1スポットから食い気のあるバスを抜き切るといったFL62の基本であり理想を見せてくれました。
アフタースポーンで動かないバスに対して、ほんの少しラインを張るだけで自分で動いているようなレスポンスを生かしたスローな使い方から、活性が高いがセレクティブな状況でロッドワークを併用したスピーディーな使い方まで、かなり幅の広い使い方をして良い結果を出しています。
バスのキャッチ率に対してキャスト数が過去を含めても最も少なかったという、自分でも驚きの結果でした。
HP502のグリーンシャッド/チャートは11月末のJFLCC大阪に出すために追加したカラーで、イベント日の1週間前に突然塗ったものなので実釣テストをしていませんでしたが、販売開始後に寒波でキンキンに冷えたシャローエリアから複数本のバスを釣ったことで『これがハイシーズンなら』という期待もあって個人的にはかなり高評価です。
実質2日間だけの使用でMVPの第3位に入ったモデルもカラーもコレ以外にありませんので、これから先が楽しみでもあります。
⦿第2位
◆FL62DR (グリーンシャッド/マスタード)
これは一番出番が多かったと思いますが、比較的厳しいコンディションでよく釣った記憶があります。
このモデルは浮力と潜行力のバランスが良いので縦捌きのソフトなトゥイッチでサスペンド状態にでき、任意のレンジをリトリーブの限界の更に低速域で誘い続けることも可能です。
そこから少し力加減を変えると、スピードはほとんど変えずにレンジを上下に変化させることもできます。
また、グラス系のロッドを用いてのジャークでは弧を描くようなキレの良いダートを見せるので、緩急の差を利用した誘いも可能です。
上記のアクションはロッドの素材やレングスが素直に反映されるので、繊細にコントロールできる人はかなり楽しめると思います。
テストではストレートリトリーブはもちろん、この2つの方法を織り交ぜることでかなり釣っています。
テストは1色のみで通しましたが、それに不自由を感じさせないほどの結果が出せたモデルです。
⦿第1位
◆SB63MR
珍しくウエイトやリップのセッティングを複数回変更したモデルです。
リトリーブ以外の入力で思い描く動きになっていることと、飛距離・潜行深度をどこでバランスさせるか課題でしたが、良いかんじになってくれました。
結果、浮力がかなり抑えられたものになり、定点シェイクに近い操作もできるようになっています。
そこまで浮力を抑えると回避性能に問題が出そうだと思われるかもしれませんが、ロングリップや各部のセッティングのおかげで巻き続けていればなんら問題は無いレベルになっています。
原型となったSRモデルも非常に良好な結果を出してきていますが、このモデルも今年のプリスポーン期から『これでこの時期の不安は無くなった』と思わせるほどの結果を出してくれました。
過去の経験から引用すると、2月中旬あたりから岸際のヘビーカバーに入り出したプリスポーンの最初期組、つまり最も体力のある大型のバスをジャバロン160(ウエイト付きフック使用)をスキッピングでカバー最奥部に滑り込ませて釣っていたのですが、この時の釣果は年間を通してかなりのもので、1回の釣行でジャバロンが15匹ぐらいあればいいや、という状態でした。
翻って今年の春先、どうにもリトリーブで釣りにくいので(同船者は普通に釣ってました)、それなら巻かずに動かしてみようと水面下でペンシルベイト的な操作を試したところ、かつてジャバロン160を使っていた当時を思い出させるほどの結果が出せるようになりました。
物がクランクですのでヘビーカバーの最奥にねじ込むようなことができませんが、カバーの大きさや岸からの距離、その場の水深とボトムの形状にある種の共通点があることに気づき、そういった場所を重点的に撃っていくことでその差を埋めることもできました。
これが自分にとってはかなりの衝撃で、ジャバロン(ウエイト付きフック)ではできなかった瞬時に展開を変化させるといったこともクランクでは可能であることも考えると、これはある点においては理想的な道具だなと思いました。←ジャバロンにできてクランクにはできないこともあります
このあたりはかなり個人的な感想なので参考にならないかもしれませんが(笑)、自分でつくっておきながらそれほどに驚いた、ということです。
それと、上記の水面下でのペンシルベイト的なアクションですが、左右にノッキングするだけの『硬い動き』ではかなりの確率で見切られるので、『柔らかい弧』であることが条件になります。
左右の振れ幅もある程度の大きさであることと、前(手前)への移動距離はペンシルベイトよりも小さいことが釣果に影響します。
この種の動きはまさにクランクでなければ出せない動きで、ミノーやシャッドでは弾け過ぎるかノッキングのどちらかになってしまいます。
忘れていましたが、これも写真のグリーンシャッド/マスタードの1個だけでテストをしていました。
この手のカラーに対してかなり偏愛的になってきているのは認めます(笑)
そして番外編
⦿SW70
クランクの隙間を埋めるのにやっぱり欲しい、ということで7月半ばからテストを始めたこのスイッシャーですが、使う人が人なら鬼鈎です。
以上
というのはさすがにアレですが、釣れました。
軽く想像の斜め上を行くぐらいに釣れました。
狙っていたとはいえ、ここまで見事に嵌るとは思いませんでしたが、最大の理由は音です。
タックルに合わせて各個要調整ですが、倍音と中心周波数が『私的に良いところ』にあるのと、喫水の位置・角度など、実は設計段階からかなりいろんなところに気を使っていたりします。
見てくれが個性的とか使ってて楽しいから釣れなくてもいいよね、みたいなものは私の中には無いのダ、というのをWスイッシャーという形にしたのがコレ、ということです。
その甲斐あってか何かが憑りついたのか、クランクでのおよそ4か月分のバイト数を2日で超えるというアホな代物になってしまい、ともすると『I工房のクランクって大したことないんじゃないの?』と誤解を招きかねないことに(笑)
周囲からは『まだか?早よ出せ』とせっつかれたり『絶対世に出すな。近しい者限定にしないと禿げる呪いを掛けたから』と脅されたりしましたが、今年いっぱいは製作者の特権で私だけが楽しむことで折り合いを付けてもらいましょう、ということにしました(笑)←だれにも言ってませんでしたが
来年に向けてテストカラーを考えるのが楽しみです。
今年のMVPは派手さは無いものの、実に渋い仕事をする面々で構成されるという私好みといいますか、ああ、これは自分の性質そのまんまやな、というものになっています。
これまでのMVPももちろん自分の足跡には違いありませんが、今年は特に色濃く反映されていてかなりリアルなかんじになっています。
さて、来年はどうなることやら(笑)
それでは皆さん良い釣りを(b^-゜)
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