ハリガネのお話

今回はクランクベイトに限らず、ルアーを作る際に使用するワイヤーについてです。

 

ラインアイやフックアイは、ハードウッドを木工旋盤や倣い旋盤(あまり無いとは思いますがマシニングセンタも)を使ってボディを削り出すものではヒートンをはじめ、いろんなリグが使われますが、2枚(若しくはそれ以上)のバルサをはじめとするウッド素材を貼り合わせて作る場合は、概ねステンレスや真鍮のワイヤーを加工し、ボディ材に挟み込んで接着、というのが多いでしょう。

 

当工房のクランクベイトは現在すべて貼り合わせで、ラインアイからテールアイまで、若しくはベリーアイとテールアイがボディ内部で繋がったワイヤースルーと呼ばれる構造になっています。

 

もっとも原始的で手間の掛かる方法ですが、強度と内部構造の自由度が高いので、バルサボディ・ハンドカービングのモデルに関しては今後もこの製法で作っていきます。

 

 

クランクベイトで使われるワイヤーは先に述べた通り、ステンレスや真鍮が多いのですが、当工房のラインナップにあるクランクにはΦ0.9のステンレスワイヤーを使用しています。

 

これは硬質ステンレスではなく、どこのホームセンターでも入手可能な軟質ステンレスです。

 

名前の響きからして硬質ステンレスの方が良さそうに思えますが(笑)、それぞれにメリット・デメリットがあり、30数年使い続けてきて不具合もなく、手に馴染んでいるので販売モデルにも採用しています。
 

それに加えて、軟質といっても金属は曲げると加工硬化という現象が起きるので、それを利用した強度アップや、本体の設計時にバスが掛かった際に力の掛かる方向(一定ではありませんが)を考えて、破損をできる限り抑えられるようにしてあります。

 

それと、モデルによってはベリーアイ、または、ベリーアイとテールアイの根元を数回ツイストして更に強度を上げてあります。

 

写真はCATHERINE75HT/SL-DRのワイヤーです。

 

これだけのことですが、ボディの破断や不意の大物に対しての不安はなくなります。

 

ここでの例として、SRモデルのCATHERINE75HT/SLと比較すると、SRモデルはテールアイの根元をツイストしてありません。

 

これは加重の掛かる角度やの違いによるもので、DRモデルは同じ距離でもラインの角度が立っているため(より90°に近い)、フッキングパワーも伝わりやすく、それによる破損のリスクを抑えた結果です(フッキングやファイト時に破損したことはありません)。

 

SRモデルに関しては、飛距離を出すほどラインの角度が寝るため、フッキング時のパワー効率も相当落ちるのでテールのツイストは不要と判断しております。

 

また前にも書きましたが、モデル別にツイスト加工が必要と判断したものは、絶対必要、ではなくそうしておいた方が良いかな?という感覚ではありますが、ベリーアイにツイスト加工を入れてあるものもあります。

 

少々話が逸れますが、ルアーの破損の主な原因は何と言ってもミスキャストによるもので、その際にテールがつぶれた、というのが最も多いのではないかと思います。

 

これについてはトップコートの強度とテールのデザインで対応しております。

 

このあたりはかなり前の記事に書いてあるのでご一読いただければ幸いです。

https://ameblo.jp/i-koubou-customlures/entry-11981480585.html 

 

ルアー製作に関するネタはまだまだありますので、またたまに書きたいと思います。

 

それでは皆さん良い釣りを(o^-')b


 


 


I工房

野池から琵琶湖、トーナメントで使える高性能なクランクベイトを目指して作っています。 ここでいつでも在庫を見られるようにと思い、HPを作りました。 バルサ製のハンドメイドクランクというと敷居が高く感じるかもしれませんが、ぜひ一度試していただきたいと思います。

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